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外国人向け 日本でのM&A・組織再編に伴う雇用・在留資格の変更と注意点

Tags: M&A, 組織再編, 雇用契約, 在留資格, ビザ, 労働法, 法務, 行政書士, 弁護士

日本で勤務する外国籍の皆様にとって、所属する企業のM&A(合併・買収)や組織再編は、キャリアや生活に大きな影響を与える可能性があります。特に、雇用条件の変更や在留資格に関する手続きについて、正確な情報を把握しておくことが重要です。

この記事では、日本企業または日本国内の事業におけるM&Aや組織再編が、外国籍従業員の皆様の雇用および在留資格にどのように関わってくるのか、そしてどのような手続きが必要になるのか、主な注意点と併せて解説します。

M&A・組織再編の種類と雇用契約の承継

M&Aや組織再編にはいくつかの形式があり、それぞれ雇用契約の承継に関するルールが異なります。代表的な形式は以下の通りです。

ポイント: 事業譲渡以外のケースでは、法律によって雇用契約が承継されることが原則ですが、手続きや詳細については、関与するM&Aの形式や個別企業の状況によって異なります。

雇用条件の変更

M&Aや組織再編の後、新しい会社の方針や統合された人事制度の下で、皆様の雇用条件(給与、労働時間、福利厚生、役職、勤務地など)が見直されることがあります。

在留資格への影響

M&Aや組織再編は、皆様の在留資格にも影響を与える可能性があります。特に「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」など、特定の所属機関で特定の活動を行うことを前提とした在留資格の場合、注意が必要です。

具体的な手続きと注意点

  1. 会社からの情報提供: M&Aや組織再編について、会社から従業員に対して説明会や個別面談が行われるのが一般的です。新しい会社の方針、雇用条件、人事制度、そして皆様の今後のポジションなどについて、十分な情報提供を受けるように努めましょう。特に、外国人従業員に関わる手続き(在留資格関連)について、会社がどのようなサポートを行うのか確認することが重要です。
  2. 労働条件の確認: 新しい雇用契約書案や就業規則案が提示されたら、内容をよく確認してください。変更点や不明な点があれば、会社の担当部署(人事部など)に質問し、必要であれば専門家(弁護士など)に相談することも検討してください。
  3. 在留資格関連の手続き:
    • 所属機関や契約機関に変更があった場合は、速やかに出入国在留管理庁に届出を行ってください。届出はオンラインまたは窓口で行えます。
    • 職務内容が大きく変わる、または雇用主が明確に変わるなどの理由で在留資格の変更が必要と思われる場合は、ご自身の現在の在留資格の種類、新しい会社の情報、新しい職務内容などを整理し、出入国在留管理庁または専門家(行政書士など)に相談し、必要な手続き(在留資格変更許可申請など)を進めてください。申請には新しい会社の情報や雇用契約書などの書類が必要になります。
  4. 専門家への相談: M&A・組織再編は複雑なプロセスであり、雇用や在留資格に関する影響も個別の状況によって異なります。会社の提示する条件に疑問がある場合、在留資格に関する手続きが不明な場合、将来的な永住を視野に入れている場合などは、労働法に詳しい弁護士や入管業務に詳しい行政書士といった専門家に相談することを強くお勧めします。

まとめ

日本でのM&Aや組織再編は、外国籍従業員の皆様の雇用契約や労働条件、そして在留資格に影響を与える重要なイベントです。会社からの情報提供を注意深く確認し、ご自身の雇用条件や在留資格への影響を理解することが第一歩です。雇用主の変更や職務内容の変更があった場合は、必要に応じて出入国在留管理庁への届出や在留資格変更許可申請を速やかに行う必要があります。

不明な点や懸念がある場合は、会社の担当者とよく話し合い、また必要に応じて労働法や入管法に詳しい専門家のアドバイスを求めることをご検討ください。正確な情報を基に適切に対応することで、日本での安定したキャリアを維持することができます。

より詳細な手続きや個別のケースに関する具体的な判断については、必ず関連省庁(法務省、出入国在留管理庁、厚生労働省など)の公式ウェブサイトをご確認いただくか、専門家にご相談ください。